おうちで金継ぎをやっている方、漆風呂の作り方に困っていませんか?特に乾燥の季節は湿度が安定せず、漆の乾きが悪くなりますよね。漆風呂は室(ムロ)とも言われていて、漆を硬化させる為の箱の事です。私がおすすめの漆風呂二つをご紹介します。
漆が硬化する条件
漆は、特殊な条件で硬化します。漆が乾くともいいますが、水分を蒸発させて乾燥させるわけではありません。漆の中に含まれている酵素(ラッカーゼ)が空気中の水分と酸化重合をし、樹液(ウルシオール)が硬化します。この酵素を活性化させる為に、湿度と温度のバランスが重要になります。
《漆にとって適度な温度と湿度》 温度 20~30℃ 湿度 70~80%
漆を硬化させるときの注意とコツ
- 扇風機やドライヤー・冷暖房の風が当たると漆の中の水分が蒸発して乾かなくなります。
- 高温になり過ぎると、酵素が働かなくなり漆が固まりません。
- 急激に湿度の高いところに入れると、表面だけが硬化して縮み(皺・シボ)になったり、中まで乾かないことになりますので、漆風呂に入れる前に通常の室温・湿度で漆を空気に触れさせてから入れてください。季節にもよりますが、4時間程度経ってから、漆風呂に入れてください。
おすすめの漆風呂
簡易漆風呂(ダンボール)
おうちにある材料で出来る、ダンボールを使った漆風呂の作り方です。一番簡単な漆風呂です。
《用意するモノ》
- 器が入る大きさのダンボール
- ビニール袋 or ラップ
- 布(タオル)
- 湿度計(あれば)
- ダンボールが入る大きさのビニール袋
《作り方》
①ダンボールを組み立てます。
②段ボールの底にビニール袋(ラップ)を敷きます。
③布(タオル)を濡らし、固くし絞り、器に触れない様にビニール袋(ラップ)の上に置きます。
④温度・湿度計があれば入れます。
⑤段ボールの蓋を閉めます。
※冬場は湿度が保てないので、さらに大きなビニール袋の中に段ボールを入れてください。
⑥夏場は直射日光の当たらない涼しいところに。冬場は、あたたかい部屋の中、またはホットカーペットの上などに置き温度を保つようにしてください。
ダンボールではなく、プラスチックケースでもOKです。
ダンボールは吸湿・乾燥をしますが、プラスチックの場合は蓋を閉めっぱなしにしてしまうと、湿度が100%近くになり漆が固まらなくなってしまうので、注意してください。また、カビなどの生えやすくなるので、蓋は湿度が上がったら少し開け、漆が固まったら箱からだしておいてください。
簡易漆風呂(ダンボール)
簡易漆風呂(木製棚)
《用意するモノ》
- コーティングされていない木の箱(写真は短冊箱、桐の米びつ・茶箱など)
- 布(タオル)
- 湿度計(あれば)
《作り方》
①木の箱の中を軽く絞った布(タオル)で天井、蓋、側面、底面を拭き濡らします。
霧吹きを使用してもOKです。漆を塗った部分に霧吹きの水分が直接かからない様に注意してください。
②直接、濡れた面に漆を塗ったところが付かない様に、割りばしの上などに器を配置します。
③温度・湿度計があれば入れます。
④木の箱の蓋を閉めます。
⑥夏場は直射日光の当たらない涼しいところに。冬場は、あたたかい部屋の中、またはホットカーペットの上などに置き温度を保つようにしてください。
※写真では家庭温室用の小型ウイングヒーターを使用しています。
「濡れタオルを巻いて入れて置いておいたら臭くなった」「カビが生えた」なんて声をよく聞きます。直接、ダンボールに霧吹きをしてもいいのですが、ダンボールがフヨフヨして嫌だなんて方も多いはず。そんなあなたに、おすすめをご紹介します。